これはフランソワーズ・サガンの小説の題名ですが、皆さまご存知ですか?多分、読まれたことはなくてもフレーズくらいは聞いたという方は多いと思います。「さよならをもう一度」というイングリッド・バーグマンとイブ・モンタン主演で映画化されており、自立した女性ポール(バーグマン)がお互いを束縛しないという中年男性ロジェ(モンタン)と純粋で一途な青年フィリップ(原作はシモンでアンソニー・パーキンス演)との間で揺れ動く女性が主人公の物語です。私は中学2年生の時に友人と見に行きましたが、内容(特にポールの気持ちなど)は全く理解できませんでした。唯、全体に流れるブラームス交響曲3番の3楽章が様々に変化する甘美なメロディーのみ頭に残っています。
ブラームスはベートーヴェンの正統派の後継者として絶対音楽を守ってきた作曲家で、チャラいオペラなどの作品は無いのですが交響曲を4曲書いています。「ベートーヴェンの幻影が背後から行進して来るのを感じる」ためなかなか交響曲を作ることができず、最初の第1番を書くのに約20年かかった話は有名です。先日大阪フェスティバルホールでこの交響曲全曲をそれぞれ関西在籍の交響楽団とその専属指揮者が演奏するという、「関西人らしいどぎつい」企画が催されました。順番は交響曲3番→4番→2番→1番となり、1曲ごとに指揮者は勿論楽団全員が入れ替わるので大変ですが、写真撮影OKでマスク着用要請やブラボー禁止令は無く、かなり客へのサービスが行き届いていました。ただ、トータルの演奏時間は4時間を超え、どの曲も美しいけど重苦しいため、終わった時には「雷に打たれた」ようにどっと疲れが押し寄せしばらく放心状態が続きました。上記の「ブラームスはお好きですか?」というのは、サガンの原作小説では若く一途なシモンがポールとの最初のデートにさりげなく誘う手紙の一文にあります。舞台はパリの「サル・プレイエルホール(パリ管弦楽団などの本拠地)」というお洒落なコンサートホールで正装をしたカップルが美しい曲を聴くのですが、これを大阪フェスティバルホールにあてはめてみると4時間近く重苦しい交響曲を4つというどぎつい関西人の毒気に中てられて、果たして最初のデートがうまく行くのでしょうか。皆さんはどう思われますか?
(普通 4つの交響曲連ちゃんには誘わないかと!!笑笑)
(2023.5)