「ブギウギ」人形

NHK朝ドラ「ブギウギ」、先月から始まっていますが、皆さん見ておられますか!

「東京ブギウギ」などのヒット曲を出した歌手「笠置シヅ子」をモデルにしたドラマです。大阪出身とは私も知らなかったのですが、我々が学生の頃阪大病院があった大阪市福島区の風呂屋の娘として育った主人公が「ブギの女王」として成功していくという痛快ドラマになっています。作品は全体に歌や踊りに溢れストーリーとともに飽きない内容で、特にドラマの最初の軽快なテーマ音楽と異様に首が長い奇妙な人形とCGによるイントロが特徴です。「怖い」「気持ちが悪い」「朝から気分を害する」など否定的な意見が多い中で、私は試みと斬新な試みとして興味を持って観ています。

少し前NHKテレビで亡くなった美空ひばりさんを画像的に生き返らせて歌や踊りを披露するという番組を放映していました。これはNHK局やレコード会社に残る沢山の音源、映像をもとに、AI技術によって目線やひばりさんの特徴的で嫌味な口元を歌唱とともに巧みに再現したものでした。私は最初「ブギウギ」の人形ダンスを見たとき同じようにすべて生成AIがCGを駆使して作っているのだろうと思っていました。ところが、NHKの違う番組ではイントロで「手作りの棒遣い人形」を5人くらいの人形師が棒を操って動かしているとのことで、ほとんど手作業で制作していると聞いてビックリしました。

さらに最近では「初音ミク」など、AIを搭載したバーチャルシンガーが登場しており、作曲家渋谷慶一郎氏は、人間ロボットのアンドロイドにコンピュータ音楽を歌わせてボーカロイド・オペラを発表し、西洋文化の人間中心主義の極致ともいうべき「オペラ」という形式に敢えて挑発するような試みをしておられます。しかしながら今後「ブギウギ」の人形のようにこれがまた回りまわって手作りの操り人形に替わっていくかもしれません。(2023.11.10)