ジャイアントパンダ

今年の2月に上野動物園で生まれたジャイアントパンダの「シャンシャン」、和歌山県の「エイメイ」など3頭が中国に返還されました。私は昔、和歌山県白浜近くの病院に勤務していたことがあり、子供たちを連れてよく観にいったもので、いなくなるのは残念です。日本国内のパンダは50年位前から日中友好関係のために来ているということですが、全て繁殖研究を目的に中国から貸与されている形となり、たとえ日本で生まれても所有権は中国にあるようです。これは絶滅危惧を懸念されてのことみたいです。

竹の幹や葉(笹)を主食とするパンダはいわば「菜食主義者」です。一般に植物細胞は動物細胞と異なり細胞壁や植物繊維を持ちこれらはセルロースが主成分で、セルロースはでんぷんと同じようにぶどう糖(グルコース)から構成され、草食動物は腸内細菌によってぶどう糖に分解してもらってエネルギーを得ます。大昔の我々人間の祖先は盲腸が発達しており、ここに棲む腸内細菌によって植物繊維を分解していたようですが、動物の狩りをして火を使った調理により肉食が多くなると盲腸が退化してしまい植物線維を分解できなくなりました。脂質の摂りすぎにより生活習慣病に悩まされている現代人には、例えばパンダの腸内細菌を腸内に移植すると我々も竹や綿、紙などを主食として利用し健康的な生活ができるかも知れませんネ。

竹の葉を食べるジャイアントパンダ(無料イラストより)

人間を含め生物は糖分、脂質、たんぱく質などを外部から取り入れ、ぶどう糖やアミノ酸などに細かく分解して腸から吸収し身体の生体分子を合成し、またその一部を分解してエネルギーを作り出しています。「菜食主義者」については「ベジタリアン」とか「草食系男子」などの言葉が広く使われています。上記の栄養素のうち、脂質やアミノ酸の一部は他の栄養素から生成可能ですが、アミノ酸には必須アミノ酸と言って体内で合成できないものがあります。人間では9種類でこれらは食物から摂取する必要があり、菜食主義者は野菜だけでは生きれず、パンダ達は実は夏の間にタケノコや竹の新芽を多く食べており、これには蛋白質が高率に含まれています。ベジタリアン達も肉や魚などの動物性食品を摂らないだけで、ナッツや豆腐からアミノ酸を摂っているわけです。但し「草食系男子」はちょっと意味が違う様でWikipediaによると「恋愛に『縁が無い』わけではないのに『積極的』ではない、『肉欲』に淡々として心優しく、傷ついたり傷つけたりすることが苦手な男子のこと」などと定義され、かなりかけ離れた使い方になっています。