2020年のアーカイブ
八郷、千代むすび
最近多くなった家飲みでお気に入りの「八郷(やごう、大山近くの久米桜酒造)」「千代むすび(境港市岡空酒造:大学の先輩のご実家)」。どちらもきりっとした辛口で、魚介類に合います。(2020.12)
クラシック音楽演奏・鑑賞にともなう飛沫感染リスク検証実験報告書
最近面白い実験結果が出たので紹介します。題材はやはり私の好きなクラシック音楽に関するもので、クラシック音楽講演運営推進協議会と一般社会法人日本管打・吹奏楽学会が今年の7月に行った実験で、クリーンルームにおいて飛沫微粒子を測定したものです。その報告書に沿って概略を述べたいと思います(コロナ下の音楽文化を前に進めるプロジェクト:クラシック音楽演奏・鑑賞にともなう飛沫感染リスク検証実験報告書HPより)。
左は今年の5月にベルリンの専門家達によって、弦楽器奏者間の距離1.5m、管楽器奏者間の距離2mを確保することが理論上かつ暫定的に提唱され、標準的安全距離(ソーシャルデイスタンス)と認識されるようになり採用された時のオーケストラの配置です。右は同じ会場における従来の演奏形態です。しかしながら、この標準的安全距離を確保するのは演奏の質を担保するのに不十分かつ困難であり、広く演奏される多くの作品の演奏が不可能となります。ウイーンフィルなど多くの団体が楽器演奏時の飛沫等の可視化実験を行い、以上の安全距離は過大ではないかという疑問が出始めました。
ソーシャルデイスタンスを取ったオーケストラの配置(左)と従来の配置(右)上記HPより
可視化実験では飛沫等の飛散する様子を立体的、経時的、定性的に捉えることは可能ですが、隣接する演奏者の位置における飛沫等の暴露の程度は、実際にその位置で微粒子の量を測定する必要があります。環境中に多く存在する埃も微粒子として測定されるのを避けるために、クリーンルーム環境においてパーティクルカウンターを用いて楽器演奏時の微粒子測定が行われました。
方法客席と演奏者について、ソーシャルデイスタンスをとった場合と従来の方法をとった場合に微粒子の飛散程度が測定され比較検討されました。対象楽器として木管楽器(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、アルトサクソフォーン)、金管楽器(ホルン、トランペット、トロンボーン、ユーフォニウム、チューバ)、弦楽器(バイオリン、チェロ)、歌手(ソプラノ、テノール)、客席(聴衆の会話、咳、発声を再現)が選ばれました。各楽器当たり3名の演奏者が、それぞれ1分間x3回の演奏を行い、演奏者の間近、及び前後左右計9か所にパーティクルカウンターで測定されました。
客席(左)と演奏者(右)の前後左右を含め9か所に測定器(パーティクルカウンター)を設置。それぞれ、「隣接した位置」⇔「一席あけた位置」、「従来の距離」⇔「ソーシャルデイスタンス」で比較。
クリーンな環境下にて実験を行うアルトサクソフォーン演奏者
「結果と提言のまとめ(原文より)」
・演奏者およびマスク着用下の客席において、従来の間隔の場合でもソーシャルデイスタンスをとった場合と比較して、飛沫などを介する感染リスクが上昇することを示すデータは得られなかった。
・ただし、ホルンでは右側50㎝、トランペット・トロンボーンでは前方75㎝において他の測定点よりもやや多い微粒子が観測された。飛沫などを介した感染リスクに限らず、人の直接・間接の接触がある限り感染のリスクをゼロにすることはできない。
・しかし、合理的な対策を組み合わせることによって感染リスクを下げること、そして仮に感染が生じてもできるだけ狭い範囲にとどめることは可能である。
・各団体が感染リスクを理解した上でそれを下げる方法を十分に検討し、方針を決定することが望ましい。
このような実験とその結果は、演奏者や観客にとって、これからの演奏形態がどうあるべきかを具体的に考える上でエビデンスのある極めて有意義なもので、実際の運用方針は各団体に委ねられるとはいえ、音楽の演奏は空間的時間的共有が不可欠であるという演奏家やファンの熱い思いを代弁しこれからの方向性を示すものと思われます。
N響は今後状況により従来と殆ど変わらない配置での演奏を考慮するようですが、やはり金管楽器はリスクがありそうです。演奏者や指揮者は本番では喋らないので良いのですが、リハーサルで興奮して唾をとばす広○○一氏のような指揮者には自覚して欲しいものです。
またファンにとっては客席では席を空けなくてもリスクに差がないとはいうものの、「ブラヴォー」を大声で叫ぶのとマスクをしていてもずれたりすることがあります。咳はマスクをしていても飛散リスクがあるようですが、そもそも咳をしている人は演奏会には行かないだろうし、咳より熱が初発症状となるコロナ感染者では入口の検温検査で引っかかってしまうと思われます。
やっぱり感染対策はキッチリすべきでしょう。(2020.12)
その他の懸念として、演奏会の休憩中にホワイエ(演奏会場のロビー、幕間に飲食がふるまわれる)でのシャンパンやワインサービスは無くなるのでしょうね。これが一番残念です!!(2017年 ドイツバイロイト音楽祭)
水木しげるロード
寒くなる前に境港にある水木しげるロードや博物館に行きました。水木しげるさんは大阪市に生まれ鳥取県境港市で育った有名な漫画家で、「ゲゲゲの鬼太郎」「河童の三平」「悪魔くん」などの作品を作ったことを知らない人はいないでしょう。境港は米子からJR境線で北の方に行くのですが、電車の内外、米子駅、途中駅にはキャラクターの絵が満載で、境港につけば至る所に色んなキャラクターがいて子供から大人まで楽しめます。(2020.11)
レナード・バーンスタイン「ヤング・ピープルズ・コンサート」
私の好きなクラシック音楽の領域ではユダヤ系指揮者・作曲家のレナード・バーンスタインが、1958年から1972年にかけ「ヤング・ピープルズ・コンサート」という子供たち向けの教育講演をテレビ中継用にニューヨークフィル率いて行っておられました。計53回のシリーズで初回の「音楽って何?」から始まり、古典音楽や印象主義、協奏曲や交響曲の作られ方、ソナタ形式、メロデイー、旋法、さらにマーラーやストラビンスキー等の作曲家の紹介、幻想交響曲やオペラ「フィデリオ」等個々の楽曲について、分かりやすく解説するものです。(2020.10)
大学医学部の役割
私は現在大学医学部に所属していますが、医学部についてあまりご存じない方も多いと思いますのでちょっと紹介してみます。ここ中国地方の医学部は、岡山大学、広島大学、鳥取大学、山口大学、島根大学と各県に1つの国立大学と、私立大学の川崎医大があります。その医学部における教授や教員たちの仕事は何だろうかと思われませんか?山崎豊子の「白い巨塔」の中で、末期癌に侵された浪速大学第一外科財前五郎教授は「国立大学医学部の教授は、教育、研究、臨床の全てに完璧であることを強制されるのか?」という言葉を残して死んでいきました。私たちのような医育機関において最も大事な仕事は言うまでもなく「教育」で、後進を育成することが最も大きな使命になります。医学部は6年間のカリキュラムですが、医学的な専門分野の勉強が段々早くから取り入れられる傾向にあり、鳥取大学では1年生の後半から解剖学や生化学、生理学などの基礎医学が始まり、2年生では解剖学や生理学の実習、基礎的な臨床医学の講義(例えば基礎的な消化器病学等)があります。3年生では地域医療や基礎・臨床医学の教室に何か月か配属されて実験や研究などを行います。4年生から臨床医学系の本格的な講義が始まり、ここら辺りから私の出番が回ってきます。担当は勿論「小児外科学」です。5、6年生はクリニカルクラークシップといって臨床各科を周り、我々は「消化器・小児外科」として、5年生では2週間毎に5人の医学生を受け入れ、外来や入院患者さんの担当、手術への参加、検討会での発表などを、マンツーマンで教官が指導に当たります。今の5年生には福山の高校出身者が5人おられ、毎日「尾道ラーメン」や「鞆の浦」の話題をして飽きません。6年生は「医療倫理学」を学んだ後、前半で1か月ごとにクリニカルクラークシップ2として将来的に専門にしたい科を重点的に3科まで選択できます。この辺りから各診療科による学生の争奪戦が始まるのですが、小児外科に進みたい人が今の6年生に2-3人、興味がある人が5年生に4₋5人おられ、期待したいところです。6年生の夏休みくらいから研修したい病院を選んで試験を受け(病院により異なりますがマッチングプログラム)、卒業試験と国家試験をクリアすれば、目出度く医師免許証が与えられます。鳥取大学の学生は半分以上が関西(特に兵庫県、大阪府)出身者で、兵庫県人である私も鳥取県、島根県に残ってもらうように努力しています。上述の福山出身者には福山医療センターを勧めていますので、実習などに行った場合にはスタッフの皆様からご指導の程お願いします。学生指導において大きな問題は、我々が昔勉強した頃とは医学の進歩とともに、同じ教科書も内容ががらりと変わっているという点です。卒業して40年近く経つのですから、当然といえばそうですが、例えば、小児外科は胎内での人体発生の途中で何らかの問題があっておこる「先天性異常」が原因となるものが大半です。以前は人体発生学では形態学が主でしたが、色んな細胞や器官が形成される過程に分子生物学的なアプローチを導入して、あらかじめ決められた(プログラムされた)遺伝子情報に従って次々と誘導されるわけです。一生懸命勉強していかないと最新の情報についていけません。(2020.11)
三朝温泉
ウイルスに抵抗する細菌の免疫防御機構
一般にウイルスが人間に感染しても体細胞内に入らないと生存できず、この場合マクロファージやリンパ球などの免疫担当細胞が働いて攻撃するのですが、1回目の感染の時にリンパ球(B細胞から分化した形質細胞と言います)が免疫グロブリンという抗体を産生します。これが働き2回目にウイルスが体内に入ってきたときに、抗体が速やかに作られ細胞内に入る前に攻撃するのです。これを利用した予防方法がワクチンと呼ばれる、死滅した或いは毒性を弱めた病原物質を体内に注射してあらかじめ抗体を産生しやすくした予防接種です。細菌は大腸菌やコレラ菌、溶連菌など約1μm(百万分の1メートル)の大きさで、ウイルスはさらに小さく数十~数百nm(nm:10億分の1メートル)で、細菌の約数十分の1の大きさになります。細菌はウイルスの侵入に対抗する独自のシステムを持っているようです。人間のように免疫グロブリンを作れない細菌は、特殊な組織(CRISPR系という、人間でいうならば抗体産生する免疫機構に相当)で、初回に侵入してきたウイルスのDNA(ウイルスはDNAかRNAしか持たない)の一部を切り取って自分のゲノムに取り込み(人間の免疫に相当)これに相対するsnRNA(small nuclear RNA、人間では抗体に相当)を産生して次回のウイルスの侵入に備えます。snRNAはCRISP(cr)RNAと形を変え、Casタンパク質という物質と複合体を作り、侵入してきたウイルスを発見して迎撃機のように破壊するというものです。細菌には県境を越える移動や5人以上の食事会を自粛するという決まりがあるかどうかは知りませんが、強敵ウイルスの侵入に対してかくも逞しく健気に戦っているのです。さすがは何十億年も前に出現した人間を含めた生命体の祖先の「知恵」でしょうか。もう1つ話をすれば原核細胞(細胞の中に核を持たない)の細菌は大気中の酸素が過剰であった太古において、酸素を消費してエネルギー源であるATPを産生・提供していたのですが、我々人間の体を構成する細胞の祖先である原始真核細胞(細胞内に核を持つ)は細菌のこの機能に目を付けて細菌を自分の細胞内に取り込み、ミトコンドリアとしてエネルギー産生に利用するに至ったのです。このような「細胞内共生」が進化の原動力であるというものはリン・マーギュルス(米国1938-2011年)による学説ですが、我々現代の人間もいろんな病原体等とも共生していきたいものです。(2020.10)
ロボット支援下手術
鳥取大学病院で行われているロボット支援下手術について紹介します。 ロボット支援といえば、荷物の運搬などを人間の代わりにロボットが行なってくれるものと思われるかもしれませんが、そのようなことになれば我々外科医の生命線が絶たれることになります。ロボット支援下手術の原理は内視鏡手術と同様に、お腹や胸の中を内視鏡で覗きながら、術者が遠隔捜査して手術を進めるというものです。上図は離れた場所で術者が内視鏡で映し出された画像を見ながら手許にあるハンドル操作をするサージョンコンソールを示します。中図は患者さんの側の操作部位で、内視鏡のカメラと実際に使用する電気メスや把持鉗子(組織などをつかむもの)などを挿入するペーシャントカートです。下図のような手術画面を見ながら手術を行います。画像は3次元画面で見え立体的な手技が可能となります。鉗子の先は多関節機能となっており、直線方向の操作しかできなかった従来の内視鏡手術とは異なり、360度どの方向でも操作が可能で拡大視されるため、複雑な剥離(血管などの組織を周りからはがすこと)や吻合(腸などを縫い合わすこと)などで繊細な操作が可能となります。また人間の手の動きがロボットアームに伝わるのですが、手振れがなく安定して手術できます。さらに術者は清潔操作が不要で腰かけて出来るので疲労も少なくて済みます。図2は2つのコンソールシステムで指導者が隣で同じ画面で操作するなど教育体制にも優れております。鳥取大学では2010年に低侵襲外科センターが設立され、2020年8月までに計1330件のロボット支援下手術が行われており、全国でも有数の施設として指導的立場にあります。泌尿器科が最も多くその6割強を占め、呼吸器外科、消化器外科、婦人科、耳鼻科(通常の手術視野では届かないような咽頭などでも比較的容易に出来るようです)、心臓血管外科がこれに続きます。小児外科では体格が小さくあまり普及していませんが、現在臨床応用に向け準備中です。ロボット支援下手術の欠点としては触覚がない、コストが高いなどの問題がありますが、国産の機種が8月に製造販売承認を得ており、価格も1/3くらいに抑えられ今後の普及が期待されます。(2020.10)
実際に行っている手術の画面
家音楽会
私はただでさえ大阪や東京に出にくい米子の地で、趣味のオペラやクラシックコンサートに行けず、貸マンションの一室で「家音楽会」をしております。各演奏家たちは無観客のイベントやWEB配信など、様々な工夫をされているようですが、私の「家音楽会」は、以前からやっている「総譜を読みながら交響曲や器楽曲を聴く」というものです。ご存じとは思いますが「総譜」とはスコアとも言い曲を構成する全楽器の楽譜が書かれているもので、指揮者が譜面台において各パートに指示します(カラヤンは暗記でしかも目をつむって指揮していた)。例えば交響曲なら上から木管楽器、金管楽器、打楽器、弦楽器というようにそれぞれの楽譜が並んでいます。
ベートーベン作曲交響曲第五番「いわゆる運命交響曲」第4楽章冒頭の総譜
作曲者が作り出したどのような曲においても、それぞれの楽器に1つ1つの音を出すように指示するために「音符」という特殊な記号で五線紙に書かれたものが楽譜で、ちょうど特殊な言語でコンピューターを動かすように書かれた「プログラミング」のようなものです。
演奏者はそれを読みながら演奏して作曲された音楽を再現し、通常ならホールやサロンで観客とともに芸術空間、時間を共有するわけです。指揮者になった気分で「総譜」を読むと各楽器の細部まで作曲者の意図を知ることとなり、音楽の神髄が味わえます。「総譜」が分かれば頭の中で音楽が組み立てられコンサートホールに行かなくても、極端な言い方をすれば音を出さなくても音楽を楽しめるということになり、ストラデイバリウスのバイオリンやタンノイのスピーカー等は意味の無い存在となります。以前私の大学の後輩で「コンピュータのプログラミング」を見ながら、頭の中でそれを組み立ててニヤニヤしたり、時に「くくっ」と笑ったり怒ったりという、薄気味悪い天才がいましたが、今となってはその変人の気持ちが分かるような気がします。(2020.9)
コンピュータのプログラミング(Wikipediaより引用) これでコンピュータの働きを作る
コロナウイルス検査
2020年の現在コロナウイルス感染が拡大していると政府関係者やマスコミから報道されていますが、医学的な専門の見地から言えば、まず鼻咽頭ぬぐい液による抗原検査やPCR検査での陽性というのはそこにウイルスがその時いること(付着)を示すもので、粘膜内に侵入して感染が成立すること(疾病発症)とは明確に区別する必要があります。つまり陽性者には結構な数の健康保因者が含まれ、また検査数が増加すると当然陽性者の絶対数は増えるのは当然で、今報道されているデータは感染が拡大していることを直接示すものではありません。太古の昔から微生物と人間の共生(大腸におけるビフィズス菌などの善玉菌等)が徐々に確立されて来ましたが、近代先進国においては衛生状態が良くなっており病原体との接触が少なく抗体を作り出せなくなり「きれい好き」がかえって免疫力を下げています。現在日本での重症者が他の先進国に比し少ないのは「経済力を犠牲にしても自粛を順守する」に加え、以前にほぼ全国民が受けていた結核菌を予防するBCG接種(他の国々では施行されていない)が効力を発しているという意見があります。某地域で行った抗体検査では住民の約1%で陽性であったと報告され、これを日本国民1.27億人に適用すると127万人の人が既にコロナウイルスに何らかの形で接触して免疫が出来たことを示しており、現在PCRや抗原検査陽性約3万人の40倍で、かつての麻疹や水痘のように自然免疫が徐々に出来つつあると考えられます。過去に流行した感染症を見ると、ペスト(黒死病)は14世紀のパンデミックでは世界の人口4.5億人の22%である1億人が死んだとされ、1894年に日本人の北里柴三郎などが原因菌を突き止め、ペスト菌を保有するノミや宿主のネズミの駆除と抗生剤等が大きな効果を上げました。また天然痘はウイルスが原因で致死率は20-50%と極めて高く、平安・室町時代頃から痘瘡と恐れられて来ましたが、1796年にジェンナーがワクチンを開発し種痘の実施によりほぼ根絶されています。しかし、いずれも流行から終焉まで数百年かかっており一刻も早いコロナウイルスワクチンの開発が待たれるところですが、当面は習慣喫煙者や糖尿病罹患、高齢者等ハイリスクの方は特に予防を心掛けていただきたいです。コロナウイルスは気道分泌物に含まれて飛沫感染しますが、一般にウイルスというのは単独では生きていくことが出来ず、必ず細胞内に入って増殖します。従って感染者や健康保因者から飛沫したウイルスが死滅するまで、手洗いやマスクにより鼻咽頭への侵入を防ぐとともに、鼻咽頭粘膜に付着したウイルスを頻回の口腔や鼻腔のうがいにて洗浄することが重要です。鼻うがいは痛いからと抵抗がありますが、某メーカーの「ハナ〇ア」というのは専用の容器で苦痛も少なく優れものです。(2020.9)
鳥取大学医学部附属病院
2020年1月より現在働いているところの鳥取大学医学部附属病院は鳥取県の米子市にあり、県庁所在地の鳥取市とは遠く離れています。この年は暖冬と言われていますが、それでも赴任してから結構な雪が2回積もりました。2月の最初ごろ一晩で50㎝積もっていた時、慣れない私はびっくりしました。送別会で医療センターの有志から頂いた「長靴」が役立ちました。有難うございます。
鳥取県は島根県と隣合わせですが、どちらも影が薄いため今年の1月ローカル番組の日本海テレビ「カミングアウトバラエティー!!秘密のケンミンSHOW」で、徹底比較する山陰総選挙が開催されていました。「スタバができたのはどっち?」や「大山ラーメン」など、カミングアウト不毛の2大巨頭がたっぷりいじられておりました。考えてみると大学まで毎日朝夕徒歩通勤しており繁華街の中を通って行くのですが、2m以内に人とすれ違うことがほとんどありません。今話題になっているコロナウイルスについては良い環境であり「しえんしえいはえー時に米子にきなったね」とほめられています。鳥取、島根両県とも長い間コロナ感染者が出現しなかったところ、島根県が先にクラスター感染を発生し、そのあおりをうけて鳥取県でも感染者が出ましたが、現在では感染者ゼロという王者的な田舎「岩手県」に次いで堂々2位の地位を誇り「ざまあみろ」と島根県を蔑んでいるようです。
米子市は人口当たり医者の数が日本一という病院だらけの町で、福山医療センターと同じ国立病院機構の米子医療センターがあり他に労災病院など、人口15万人の米子市には多すぎると思いますが、このような鳥取県米子市にあって、鳥取大学は患者さんには優しい先進的な医療を行っており、その幾つかを順に紹介します。
今回は、患者呼び出しアプリ「とりりんりん」についてお話します。大学病院という性格上他病院から「大学病院で詳しく診てもらいましょうね」という、責任の重い紹介患者さんが多く、1人あたりにかける診察、検査、治療時間が長く、どうしても外来待ち時間が伸びてしまいます。患者さんだけでなく医療スタッフにとってもかなりのストレスになりますので、患者呼び出しアプリはこれを解消するために昨年9月から病院全科で取り入れられ、赴任の後私が最も感心させられたアイデアです。具体的に言えば「とりりんりん」というアプリは鳥取大学病院が独自に開発したもので、スマートフォンにダウンロードしておくと、事前に予約している再来患者さんは、駐車場など離れた場所からでも受付を済ますことができ、診察時間が近づくと呼び出しメッセージが届くというものです。病院の半径500m以内は使用可能なので、院内のレストランやコンビニにいてもメッセージが来てから動けば良いわけです。トイレに行っている間に呼ばれたらどうしようと、外来で呼ばれるのや番号表示が出るのをずっと待っているのより遥かに快適と思われます。ただ、残念なことはこの「とりりんりん」それほど利用されていないようで、辛抱強い山陰の方々におかれましては、ほとんどの患者さんはトイレも我慢して、いまだに外来待合で耳をそばだて目を皿のようにして順番が来るのをじっと待っておられるようです。
患者呼び出しアプリ「とりりんりん」
今働いているところの鳥取大学医学部附属病院は鳥取県の米子市にあり、県庁所在地の鳥取市とは遠く離れています。今年は暖冬と言われていますが、それでも赴任してから結構な雪が2回積もりました。写真は2月の最初ごろ一晩で50㎝積もっていた時の市役所辺りの風景ですが、慣れない私はびっくりしました。送別会で医療センターの有志から頂いた「長靴」が役立ちました。有難うございます。
鳥取県は島根県と隣合わせですが、どちらも影が薄いため今年の1月ローカル番組の日本海テレビ「カミングアウトバラエティー!!秘密のケンミンSHOW」で、徹底比較する山陰総選挙が開催されていました。「スタバができたのはどっち?」や「大山ラーメン」など、カミングアウト不毛の2大巨頭がたっぷりいじられておりました。考えてみると大学まで毎日朝夕徒歩通勤しており繁華街の中を通って行くのですが、2m以内に人とすれ違うことがほとんどありません。今話題になっているコロナウイルスについては良い環境であり「しえんしえいはえー時に米子にきんさったね」とほめられています。鳥取、島根両県とも長い間コロナ感染者が出現しなかったところ、島根県が先にクラスター感染を発生し、そのあおりをうけて鳥取県でも感染者が出ましたが、現在では感染者ゼロという王者的な田舎「岩手県」に次いで堂々2位の地位を誇り「ざまあみろ」と島根県を蔑んでいるようです。
米子市は人口当たり医者の数が日本一という病院だらけの町で、福山医療センターと同じ国立病院機構の米子医療センターがあり他に労災病院など、人口15万人の米子市には多すぎると思いますが、このような鳥取県米子市にあって、鳥取大学は患者さんには優しい先進的な医療を行っており、その幾つかを順に紹介します。
今回は、患者呼び出しアプリ「とりりんりん」についてお話します(図2)。大学病院という性格上他病院から「大学病院で詳しく診てもらいましょうね」という、責任の重い紹介患者さんが多く、1人あたりにかける診察、検査、治療時間が長く、どうしても外来待ち時間が伸びてしまいます。患者さんだけでなく医療スタッフにとってもかなりのストレスになりますので、患者呼び出しアプリはこれを解消するために昨年9月から病院全科で取り入れられ、赴任の後私が最も感心させられたアイデアです。具体的に言えば「とりりんりん」というアプリは鳥取大学病院が独自に開発したもので、スマートフォンにダウンロードしておくと、事前に予約している再来患者さんは、駐車場など離れた場所からでも受付を済ますことができ、診察時間が近づくと呼び出しメッセージが届くというものです。病院の半径500m以内は使用可能なので、院内のレストランやコンビニにいてもメッセージが来てから動けば良いわけです。トイレに行っている間に呼ばれたらどうしようと、外来で呼ばれるのや番号表示が出るのをずっと待っているのより遥かに快適と思われます。ただ、残念なことはこの「とりりんりん」それほど利用されていないようで、辛抱強い山陰の方々におかれましては、ほとんどの患者さんはトイレも我慢して、いまだに外来待合で耳をそばだて目を皿のようにして順番が来るのをじっと待っておられるようです。(2020.6)