クラシック音楽の変わった曲名を集めてみました。
ベートーベン:ピアノ奇想曲「無くした小銭への怒り」
マーラー:歌曲「魚に説教する聖アウグスツス」
サテイ:ピアノ協奏曲「犬のためのぶよぶよした本当の前奏曲」
ロッシーニ:ピアノ独奏曲「ロマンテイックなひき肉」
(2024.3.14.)
父の遺歌集と私のオペラなどのクラッシック音楽等、趣味をご紹介しています。
クラシック音楽の変わった曲名を集めてみました。
ベートーベン:ピアノ奇想曲「無くした小銭への怒り」
マーラー:歌曲「魚に説教する聖アウグスツス」
サテイ:ピアノ協奏曲「犬のためのぶよぶよした本当の前奏曲」
ロッシーニ:ピアノ独奏曲「ロマンテイックなひき肉」
(2024.3.14.)
今年2月6日 世界の大指揮者「小澤征爾」さんが亡くなりました。
小澤氏指揮の演奏を聴かれた方は多いと思いますが、私が最も印象に残っているのは、ボストン交響楽団を振った「ブラームス交響曲第1番」です。これは1977年にドイツグラモフォンから出た名盤の一つで、NHK-FMで聴いたのですが早速LPレコードを購入し、今でも大切に保存しています。生演奏では2010年8月長野県松本市でチャイコフスキーの弦楽セレナーデ第1楽章だけを指揮されたのを聴いたことがあります(体調不良のため他は山田和樹氏、下野達也氏に交替)。この松本フェスティバルはサイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)が1992年から毎夏行なっていたもので、桐朋学園大学で指揮者斎藤秀雄氏に師事していた演奏家たちが中心に行っており、小澤氏が統括されていましたが、2015年よりこの音楽祭は「セイジ・オザワ松本フェスティバル」に変更されました。余談ですが、斎藤秀雄氏は指揮科の指導教官で、癇癪もちで小澤氏は指揮棒で叩かれたり、楽譜を投げつけられたりを日常的に受け、ストレスで本箱を素手で殴りつけ大怪我をしたことがあったそうです。今では「パワハラ」として、マスコミや父兄会の格好の餌食になるところですが、その斎藤氏を慕って毎年世界中から多くの弟子が松本に集まってくるので、真の意味での「教育者」とは「全ての人に優しく平等に受け入れられる」ようなものではないのでしょう。
小澤征爾氏に関する本を2冊読んだことがあります、1つは村上春樹氏との対談をまとめたもので、文筆家と音楽家という異なる職種の2人ですが、それぞれ超一流の仕事をされており、お互いに共通したものがあることを冒頭で述べられています。つまり、①仕事をすることにどこまでも純粋な喜びを感じていること、②いつまでも若い頃と同じハングリーな心を変わらず持ち続けていること、③仕事遂行において辛抱強くタフで頑固であること、です。
もう1冊は「僕の音楽武者修行」というもので、神戸から貨物船に乗りギターとスクーターだけで単身ヨーロッパに渡り、プザンソン国際指揮者コンクールで優勝してから、カラヤン、ミュンシュ、バーンシュタインに師事し、渡米してシカゴ交響楽団、トロント交響楽団、サンフランシスコ交響楽団、ボストン交響楽団、タングルウッド音楽祭の主催などを経て日本に帰国するまでの生活を記したものです。苦労話でさえユーモアたっぷりに描かれており、小澤氏の音楽に対する熱情が伝わって来ます。
海外渡航については、現在では多くの日本人がかなり自由に諸外国に出かけていますが、文明開化を果たしたばかりの明治時代に、欧米の医学や知識を取り入れようとした、2人の偉大な医学者「森鴎外」と「野口英世」を紹介したいと思います。まず森鷗外は島根県津和野の藩医の家に生まれ、帝国大学(現在の東京大学)医学部を最年少の19才で卒業し、陸軍省から国費留学生としてドイツに5年間留学しています。その後鴎外は陸軍軍医総監に昇進し、人事権を持つ軍医のトップとなる傍ら数々の文学作品を書き、文筆家としても一流の活躍を遂げるのです。しかしながら、学問や芸術を迫害しているとして明治政府に抵抗し、学問の自由研究と芸術の自由発展を妨げる国は栄えるはずがないと一貫して主張しました。ただ、言葉が異なる英国で英文学を学んだ夏目漱石とは異なり、国境のある文学だけでなく鷗外は医学も学んでおり、自然科学は普遍的な領域なので、救われた面もあると思われます。
一方の野口は貧しい農家の長男として生まれ、幼少時に母が目を離したすきに囲炉裏に落ち激しい火傷のために左手が開かなくなったが、後に周りの方々からの支援により外科手術を受け、細菌学者となって大きな功績を挙げるというよく知られた医学者です。我々が小学生の時には偉大な学者という風に教科書で取り上げられ、立身出世してお世話になった周囲の方々に恩返しをするという、ストーリーになっていたと思います。実際にロックフェラー研究所の正所員、各学会の正式メンバー、東大の理学博士、京大の医学博士。各国の栄誉勲章、日本帝国学士院恩賜賞、勲四等旭日小綬章を受け、確かに偉業をなすのですが、そのやり方は偉人伝とはかけ離れたものです。例えば医師を目指す女子学生と婚約し、その持参金を渡航費に当てる、地元の恩師や友人から渡航のために今の価値で何億円も借金をするのですが、そのお金を渡航の前に料亭で飲み食いして散財するなど、数え切れない詐欺のような行為をしているのです。上記の婚約した女性に対して試験の前に頭蓋骨の標本をプレゼントして喜んでもらおうとしたようです。しかし研究に対する情熱はすばらしく、単身フィラデルフィアに乗り込んだ後、ろくに睡眠をとらずに研究、論文執筆に没頭。「科学の世界は何かを得ようと夢見ている時が花で、実際手にしてみるとその喜びは意外と薄いものです。それどころか、1つの目的が達せられると、さらにもう1つと新たな望みが生まれ、さらに自分を苦しめる結果となります。」と後に述懐しています。野口と鴎外はともに苦労をされているのですが2人に共通した点は世間知らずの無鉄砲さにあると思われます。
(2024.3.12)