クラシック音楽川柳

先日面白い川柳がx(かける)クラシックというFM放送(サクソフォーン奏者上野耕平とモデルの市川紗椰が軽快なトークで司会をする)で紹介されていました。

ばあちゃんは入れ歯でカルメンギター弾く」カスタネットの音を入れ歯で「カタカタ」鳴らし、ギターも弾いてカルメンを演奏しているめちゃポジティブなスーパーグランドマザーがうかがわれます。

現代の石川〇木「たわむれに妻を背負いてそのあまり重きに泣きて1歩もあゆまず

健康的でほのぼのします。

(2024.629)

医師とピアニストの二刀流

 名古屋大学医学部を卒業し現在研修医として勤務する沢田蒼梧医師は前回のショパンコンクールで反田恭平氏、小林愛美さんたちとともに入賞しています。医師とプロのピアニストの「二刀流」を目指すとのことで、頼もしい限りです。しかも小児期に喘息に悩まされ、将来は小児科医になりたいと語っています。

(2024.6.29)

子ども食堂

 先日鳥取大学医学部の学生と話をしていたら、「猫手Necote」というボランティアサークルが活動していることを聞き、早速取材に行きました。サークル部員は30人くらいおり、医学科や看護学を専攻している学生達から成り立ち、大学近くの一般社団法人「手と手TetoTe」といういわゆる「こども食堂」で活動しているとのことです。家庭や学校で居場所のない小学生から高校生までの子供たちとゲームをしたり、宿題を手伝ったり、食事を一緒にして「手と手をつなぐ」活動をしています。最近、「子ども食堂」は全国的に多くみられるようになりました。ここは家庭でも学校でもないもう一つの居場所。子供たちがそのままの自分で居られる場所を見つけるということですが、本来は家庭や学校で築くはずの自分のアイデンティティがそれ以外の場所でしかできないというのはちょっと違和感を持ってしまいます。家には遅くまで仕事で帰らないお父さんとお母さん、塾に行かされる自分など、現代日本の歪んだ構造が見えるような気がします。部長の大〇周君(医学科6年生)は兵庫県姫路市の高校の時から将来的には小児科医になりたいと猛勉強をして、鳥取大学医学部に現役で合格されています。「TetoTe」には不登校や発達障害など様々な問題を持つ子どもも集まって来、喧嘩もおこるが、まずお互いの話をしっかり受け止め、もがきながら大きくなっていくこどもの成長を「猫の手」のように、支え寄り添えるようになりたいと述べてくれました。将来良い小児科医になってくれることでしょう。

(2024.6..29)

米子市にある子ども食堂「TetoTe」

映画「関心領域」

先日恐ろしい映画を観てきました。

「関心領域」The Zone of Interestという、ナチスドイツが使った強制収容所の周辺地域を指す言葉ですが、ナチスに関わった人々の真の残虐さを描いたものです。映画の内容としてはアウシュビッツ収容所の所長が収容所のすぐ隣で暮らしているのですが、ごくありふれた幸福な家族の日常が淡々とつづられ、、塀を隔てた収容所での残虐さは具体的には何も出てきません。しかし、収容所の焼却炉からあがる煙、銃声、叫び声、家族が交わす何気ない会話、収容者たちから奪った毛皮のコートを自慢げに着てみせる所長夫人、川で水浴びをしていた時に流れてきた灰のためにすかさず家に帰ってシャワーを浴びる家族、貨物車で運び込まれた「積み荷」を効率よく焼却する新型「リング式焼却炉」の開発を熱心に討論する技術者たち、欲しいものは何でも手に入るアウシュビッツの自宅を離れたくない夫人に、この上ない恐怖を感じるのです。ハンナ・アーレントによる「悪の凡庸さ」つまり「命令に従っただけの凡庸な人間たち」ではなく、本映画に登場するのは積極的に「劣等人種」を殺戮し自分のより良い生活を確保するために搾取を意識的或いは無意識に行う普通の一般人から成り立つ「支配民族」であることが強調されます。

映画「関心領域」パンフレットより 壁の向こう側にはアウシュビッツ強制収容所の屋根と焼却炉からの煙が見え、その手前で子供たちは遊んでいる。
 

上記のハンナ・アーレントは何故ドイツでナチスのような全体主義が台頭したかについて、詳しく分析されています。つまり「客観的な敵」を規定することが「全体主義」の本質であるとし「客観的な敵は自然や歴史の法則によって体制側の政策のみによって規定され、これらは効果的に人間の自由を奪う」としています。一旦「客観的な敵」が規定されると「望ましからぬもの」「生きる資格の無いもの」という新しい概念、グループが出来上がり、「客観的な敵」に属さない「大多数の人々」はこれに賛同し、また「同調圧力」が加わり「大虐殺」に至ったとしています。「大多数の人々」がこのような「均一性」を自覚することが最も根源的な問題と思われ、多様性を受け入れることが重要と思われますが、ナチスドイツだけでなく現在も続いている多くの紛争は、異なる民族、宗教の違いにより生じ「支配民族」たることを目的としていることによるものと思われ残念ながら解決は難しいように思われます。

(2024.6.29)

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2024

 2024年4月に琵琶湖でのクラッシック音楽祭の話を書きましたが、その後5月の連休に東京でラ・フォル・ジュルネTOKYO2024に行ってきました。ラ・フォル・ジュルネとは「熱狂の日」という意味で、フランス西部の港町ナントで1995年、アーテイステイックデイレクターの「ルネ・マルタン」によって始められています。「一流の演奏を気軽に楽しんでいただき、明日のクラシック音楽を支える新しい聴衆を開拓したい」という目的で、500近い演奏会を低価格で提供するものです。この活動は全世界に広がり、日本へは2005年から開催され、2020年から新型コロナのために中止させられましたが、昨年からようやく再開。今年は実に100を超える有料公演と多くの屋外での無料コンサートが行われるに至ったわけです。その演奏レベルは非常に高く、小林愛実やケフェリック(ピアノ)、成田達輝やシャルリエ(バイオリン)など、内外でも著名な音楽家の多くを聴けて充実しました。特に音楽大学在学中など、最近の若い演奏家の情熱と演奏技術には目を見張るものがあります。中でも今回ユニークな企画として、「0才からのコンサーコンサート」というのがあり、乳幼児からコンサートを聴けるというものでした。乳母車で会場に入り、勿論保護者が一緒ですが、曲が始まると子供たちが一斉に泣き出し、別の意味での「合唱?」が繰り広げられたのです。(2024.6.6)

 乳幼児からの音楽教育の重要性は「音楽の訓練」のところで述べていますので、ご参照ください。

屋外での無料コンサート:売り出し前の若い演奏家のデビュー戦にもなる
0歳からのコンサート