食 その二

前肢が手となり中枢神経に言葉の生れて物を作りし
手の操作言語の記憶が物作る働く人をあらしめたりと
こく物を作り蓄へ更に物作らん知恵の生れ来りぬ
食物が豊かになりて人の殖へ人殖へ更に食物作りぬ
道具など体超へたる物作り耕して更に食物得たり
退きたれば満ちくる波の慣はしに今日あり一人の窓と言へるも
労苦せし人の所得の少なきをひしひし玉葱晴ひかへる
眼窩のごと窪み明きたる錠剤をのみたるごみを集め捨てをり
人生を意識の深さに求めたり全て捨てたるところに生まるる
日々に黄の色増して稲の熟れ光り明るき秋原となる
繊維街食堂街など岐れたる機能に都会の賑ひのあり
食べ頃とすしをもらひぬ生鯖と酢と塩と飯の時に順れしと
人間は物質にして細胞にて動物にして英知をもてり
床下の闇に逃げたる猫の目の向くる憐光生きねばならぬ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください