山野辺の道紀行

晴天になりたる事も孝行の故と高らに笑ひさざめく
花見など早くも次の行楽を語り合ひつつ車は走る
春の陽に歩む三三五五の群古代の道は細かりしかな
背景の未だ萌さぬ黒き森景行陵固く柵を閉せり
山脈の重なり合へる忍坂に神武迎へし人等のありき
苔をむす樹の根にひきのうずくまり古代の径の跡は続きぬ
はるかなる大宮人の踏みし径昼餉の酒はコップに仰ぐ
信楽の陶の狸に似ると言ふこれより少しスマートでないか
編笠を被れば陶の狸とど少し感心なして聞きおり

2015年1月10日