自己

百年を足らずに人は死にゆくも生きるは永き営みを継ぐ
布一つ鉄片一つも時永き人の生死の苦難より出ず
前肢が手となり言語中枢をもちたる迄の年月思ふ
言語もち過去蓄め未来を予料せし苦難を思ふ年月思ふ
手と知恵を持ちし時より休みなく額に汗する働きもちし
知恵と手は休みあらざる労働をなせと内より命じ来たりき
物作り道具となして物をもて物生む技をいつしか得たり
物を作り作りし物によりて生くここより人は生きるに追はる
物作るは己を作ることとなり己れ作るは物を作りぬ
物作り己れを作り欲望は其処より生れて限りのあらず
物作り技増しゆくは自が内に世界を見出で包みゆくことにて
物と技重なりあひて世界あり世界を包むを自己となしたり

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください