似たような経験をお話しますが、私が1990年代にアメリカに留学していた頃はバブル経済が弾けたとは言え日本の力がまだまだ強く、アメリカ自動車産業の半分くらいは日本車が占めるという時期でした。あるアメリカ人の看護師さんから「日本人は外国の模倣ばかりして自国の独特の発明は何もない」と言われたのに対し、この時だけは根っからの「愛国者」になり、ソニー社の「ウオークマン」は画期的なもので市場を席巻していると反論しました。しかしながら、考えてみると当時のテープレコーダーを携帯用に小型化しただけのもので磁気を使って音声録音するテープレコーダーを発明したデンマークのポールセンやフロイメルとは大きな違いがあります。2023年の雑誌Nature誌に「Japanese research is no longer world class — here’s why」という衝撃的なニュースが載っていましたが、日本のシステムの問題だけではないのですが、「破壊的イノベーション」を生み出すような発想の転換や努力などが必要でしょう。
以前に紹介したように鳥取大学病院では作年4月に「スポーツ医科学センターTottori University Hospital Sports Medical Center: TSA」が開設されました。アスリートが持つ医学的な問題は、脳・眼・耳・鼻といった神経感覚器の障害、呼吸器、循環器などの内科的疾患、栄養バランス、ホルモンバランス、噛み合わせ、メンタルの不調など多岐にわたります。このような問題に対して迅速かつ専門的なサポートを行うもので、多職種が関わって行くものです。