音楽の聖地:バイロイト音楽祭

2017年の夏リフレッシュ休暇と年休を併せて利用し、遂にクラッシック音楽の聖地「バイロイト音楽祭」に行ってきました。

バイロイトは南ドイツ、ミュンヘンのやや北東部に位置し、ニュールンベルグより電車で1時間くらいのところです。

 

ニュールンベルグ駅

 

ドイツの国有鉄道

ここには作曲家ワーグナーが自分の音楽(楽劇という独特のオペラ)を演奏するためだけに、当時のバイエルン国王で恋人であったルードヴィッヒ2世をたぶらかして建てさせた祝祭劇場があります。

 

バイロイト祝祭劇場

この祝祭劇場ではワーグナーの楽劇のみを夏の期間行うバイロイト音楽祭が開催されます。チケット入手は極めて困難で抽選などを待っていると殆ど不可能ですが、「地獄の沙汰も金次第」で、お金さえ出せば何とかなるものです。2017年に私は現地で5公演を聴いてきました。

 

世界中から集まるセレブ達

 

ホテルから劇場まで通う車

 

各幕の始まりを知らせるファンファーレ

 

出番を待つファンファーレ奏者たち

 

 

「ニーベルングの指輪」という4日にもわたる長大な楽劇と、「パルシファル」というワーグナーが死ぬ直前に書いた荘厳な祝祭祭典劇で、合計演奏時間は19時間近く、幕間の休憩時間や待ち時間を入れると、実に32時間(1日平均6時間)この劇場にいたことになります。

幕間のひととき

 

またこの公演に魅せられ、2018年には「さ迷えるオランダ人」「トリスタンとイゾルデ」を堪能しました。「トリスタン」第3幕で出てくるイングリッシュホルンの哀愁のあるソロは特に感動的でした。

普通のオペラ劇場はオーケストラピットが観客から見える位置にあるのですが、音が拡散しないようにピットに天井を付けて客席からは見えないようになっています。

オーケストラピット

 

また音が変な風に響かないように客席はすべて木製で、狭くクッションも無い最低・最悪の客席です。

 

劇場内客席

 

座ると前を通るスペースが無いため、全員着席するまで立って待っていないとだめで、お年寄りの急病人が出た時も、みんな一旦場外に出てから救急隊が入り搬送して行きました。

バイロイト音楽祭では近隣のオーケストラの精鋭が夏期間のみ演奏に来るので、音は抜群に良かったですが、演出がますます奇抜になっており、設定が、モーテルであったり、マルクス、レーニン、スターリン、毛沢東のデスマスクやワニが登場したりで、ついていくのに大変でした。

 

ニーベルングの指輪:ラインの黄金のカーテンコール

 

(図11)。街のパブで飲んでる時に隣に居合わせたイギリスから来た男性は「Music is good, singing is good, but act is challenging or CRAZY」と言っていました。

劇場にはワーグナーと妻コジマ(作曲家リストの娘)の胸像があり、少し離れたところにワーグナーが晩年暮らしたというヴァンフリート邸があり、リストやブルックナーが訪れていたということです

ワーグナーの胸像

 

ワーグナーの妻コジマ(リストの娘)

 

ワーグナーが晩年住んだヴァンフリート邸 手前の胸像はバイエルン国王ルードヴィッヒ2世

劇場の一角に、モニュメントが沢山作られており、見るとこれまでにバイロイト音楽祭に出演、関与していたが、ナチスに殺害されたユダヤ人演奏家が1人1人、その人物の歴史が紹介されていました。

ナチスに殺害されたユダヤ人音楽家たちのモニュメント

当時のヒットラー・ナチスはアーリア人の優秀性を強調し、ユダヤ人を迫害しましたが(実際はユダヤ人の方が優秀な人が明らかに遥かに多く、アーリア人の劣等感の裏返しによると思われます。またワーグナー自身も大のユダヤ人嫌い)、多くの貴重な能力・財産を失いましたが、このような閉鎖的・民族的な偏見から大きな悲劇が生まれることを歴史が物語っています。ドイツ人は過去の過ちを認め、それを謝罪する意味でルーマニアやイスラムの難民を受けて世界に示威しているのだと、ミュンヘンで会った20代の女性が言っておりました。

最後に劇場であった興味深い人たちを紹介します。ワシントンDCから来た、毎日ドレスを着替える老夫妻。

 

 

ワシントンDCから来た夫妻

 

 

 

 

指先までTatooを入れている音楽大学の学生。

 

 

ロックシンガーのようなモヒカン男。

 

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